みなさんこんにちは ! ありーなです
ついにジャクリがリン酸鉄のPlusシリーズを発売しました。リン酸鉄採用も遅かったように感じますが、いまだに三元系のProシリーズも前面に押し出しているのはなぜですか?
そんな疑問にお答えするため、ジャクリのリン酸鉄搭載ポータブル電源が他社より遅れて発売された理由、今でも三元系のポータブル電源にも力を入れ続けている理由を紹介します。ジャクリに直接確かめた内容ではありませんが、おそらくこんな背景があったんだと思いますよ
この記事を読むとこのようなことが分かります
ぜひ最後までご覧ください
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目次
三元系リチウム電池にこだわり続けるのはなぜ
2023年6月ジャクリからついに、リン酸鉄リチウムイオン電池を搭載したJackery Plusシリーズが発売されました。
人気ポータブル電源メーカー4社(Anker、Bluetti、EcoFlow、Jackery)の中では、かなり遅れたタイミングでのリン酸鉄リチウムイオン電池搭載モデルの発売です。
【人気ポータブル電源メーカー4社における初のリン酸鉄搭載機種】
2020年3月 Bluetti AC200P 発売
2021年12月 Anker 521 発売
2022年1月 EcoFlow DELTA Pro 発売
2023年6月 Jackery 2000Plus 発売
2020年3月にブルーティがAC200Pを発売してから3年と3か月。
安全性と長寿命が特徴のリン酸鉄ポータブル電源が主流となっていく中、ジャクリが三元系リチウムイオン電池にこだわり続けた理由は何でしょうか?
2016年に世界初のアウトドア用ポータブル電源を発売し、2018年に世界初のポータブルソーラーパネルを開発したジャクリがなぜ、リン酸鉄を採用してこなかったのでしょうか?
パイオニアのプライドが、新しい技術に移行するのを妨げたのでしょうか?
その理由が知りたくていろいろと調べるうちに、ジャクリが三元系にこだわり続けてきた理由が見えてきました。
ジャクリは「ものづくりビジョン」を守りつづけている
ジャクリがこれまで三元系にこだわり続けてきたの理由は、ジャクリのWEBサイトにはっきりと書かれていました。
グローバルメニューにある「企業情報」を開くと、「Jackeryとは」というページにたどりつきます。
そこにはジャクリのものづくりに対する考え方(ビジョン)として、次のような文章が載せられていました。
製品を世に生み出すだけでなく、「あらゆる人に、あらゆる場所で」というビジョンを実現するため、少しでも軽く、少しでも出力を高め、あらゆる安全機能を追加して、製品を日々向上させています
※ 現在は修正されて「あらゆる人に、あらゆる場所で」とだけ載っています
ここに書かれていた通り、ジャクリは
「あらゆる人に、あらゆる場所で」
使えるポータブル電源を目指しています。
そのために製品を日々向上させ、「少しでも軽く、少しでも出力を高め、あらゆる安全機能を追加して」いるのがジャクリの商品です。
「少しでも軽く、少しでも出力を高め、あらゆる安全機能を追加して」とは具体的にどんなところで実現されているのでしょうか?
「ものづくりビジョン」が具現化したジャクリのポータブル電源
そこでリン酸鉄搭載 Jackery Plusシリーズが発売される以前における、ジャクリのポータブル電源が持つ特徴を見返してみました。
すると「あらゆる人に、あらゆる場所で」というコンセプトがいろいろなところに見えてきました。
【ジャクリ ポータブル電源の特徴(Jackery Plusシリーズ発売前)】
他社製品と比べて「優れている」と見える点
オレンジと黒のスタイリッシュなデザイン | 性別にかかわらず好まれるデザイン |
軽くてコンパクト | 誰でもあつかいやすい |
高い静音性を実現している | 室内でも避難所でもどこでも使える |
BMSなどで安全性能を高めている | 誰でも安心してどこでも使える |
サポート体制がしっかりしている | 誰でも安心して使える |
コード類を収納できるポーチが付いている | どこにでも持ってきやすい |
ディスプレイ表示が明るく大きい | 誰でもどこでも見やすい・分かりやすい |
操作が単純で直感的 | 誰でも使いやすい |
他社製品と比べて「劣っている」と見える点
リン酸鉄リチウムイオンを採用していない | ※次の章で説明します |
出力ポートの数・種類が少ない | (シンプルで誰でも使いやすい・機能を減らして軽量化しているとも言える) |
スマホ専用アプリがない | 同上 |
UPS・ワイアレス充電機能がない | 同上 |
エクストラバッテリーが使えない | (どこでも使える(持ち運びしやすい)という意味では不要ともいえる) |
それでは「なぜリン酸鉄を採用してこなかったのか」を、次の章で説明します
ジャクリがリン酸鉄を採用してこなかった理由
リン酸鉄より三元系の方が「ビジョン」を実現できるから
ジャクリがリン酸鉄リチウムイオン電池を採用してこなかった理由、それはリン酸鉄リチウムイオン電池の特徴にあります。
リン酸鉄リチウムイオン電池は三元系と比べると「安全性が高く、長寿命」といわれます。
そのメリットが大きいため、多くのメーカーではいち早くリン酸鉄リチウムイオン電池搭載のポータブル電源を発売してきました。
しかしジャクリはリン酸鉄が持つメリットとデメリット、三元系の持つメリットとデメリットを天秤にかけ、今はまだ三元系リチウムイオン電池の方が優れていると判断しました。
その判断の柱にあったのが
「あらゆる人に、あらゆる場所で」
というビジョンでした。
リン酸鉄リチウムイオン | 三元系リチウムイオン | |
メリット | 安全性が高い 長寿命 長時間放置しても自然放電しづらい ⇒長く安全に使える | エネルギー密度が高い ⇒ 軽くてコンパクトに作れる |
デメリット | エネルギー密度が高い ⇒ 重くて大きくならざるを得ない 製造コストが高い ⇒値段が高くなる | (リン酸鉄と比べると) 安全性が低い 短寿命 自然放電しやすい |
それではジャクリは何を重視していたのでしょうか?
重視したのは、誰でもどこでも使える「軽さと大きさ」
ジャクリが最も重視したのは、ポータブル電源はできるだけ「軽くてコンパクト」であるべきという点です。
一般的に三元系リチウムイオン電池の「エネルギー密度」は、リン酸鉄リチウムイオン電池の約1.8倍と言われています。
エネルギー密度が高いということは、重量当たりのパワーが大きいという意味で、三元系であればよりコンパクトでより軽いポータブル電源が実現できるのです。
上の棒グラフは、容量2000Whクラスのポータブル電源を容量の小さい順に左から並べたものです。右端にある三元系リチウムイオン電池搭載Jackery 2000Proは、容量が最も大きいにも関わらずとびぬけて軽いことが分かります
サイズについても同様に、三元系リチウムイオン電池搭載のJackery 2000Proが最もコンパクトであることが分かります
機種名 | サイズ (横×奥行×縦) | 3辺合計 | 容量 (容量当りサイズ) |
Jackery 2000 Pro | 384x269x307.5mm | 960.5mm | 2160Wh (0.44mm) |
EcoFlow DELTA 2Max | 497x242x305mm | 1044mm | 2048Wh (0.51mm) |
EcoFlow DELTA Max 2000 | 497x242x305mm | 1044mm | 2016Wh (0.52mm) |
Bluetti AC 200Max | 420×280×386.5mm | 1086.5mm | 2048Wh (0.53mm) |
Bluetti AC 200P | 420×280×386mm | 1086mm | 2000Wh (0.54mm) |
Bluetti EB200P | 440×296×387.5mm | 1123.5mm | 2048Wh (0.55mm) |
Anker 767 | 525x250x395mm | 1170mm | 2048Wh (0.57mm) |
Jackery 2000 Plus | 473×359×373mm | 1205mm | 2042.8Wh (0.59mm) |
でも三元系リチウムイオン電池は、リン酸鉄と比べて安全性や寿命が劣っているんじゃないの?
三元系リチウムイオン電池のデメリットを補う取り組み
三元系リチウムイオン電池は安全性と寿命において、リン酸鉄リチウムイオン電池より劣るのは紛れもない事実です。
「軽くてコンパクト」というメリットを重視して三元系リチウムイオン電池を採用し続けてきたジャクリーは、三元系の持つデメリットを小さくする努力も合わせて進めてきました。
ここで「あらゆる人に、あらゆる場所で」というビジョンを実現するため、少しでも軽く、少しでも出力を高め、あらゆる安全機能を追加して、製品を日々向上させています というジャクリのビジョンを思い出してください。「少しでも軽く、少しでも出力を高め、あらゆる安全機能を追加して」というところが、デメリットを小さくする取り組みを指していそうです
「リン酸鉄より安全性が低い」というデメリットに対する取組み
リチウムイオン電池は一度発火や爆発が起きると、高温の熱や炎を発し燃え尽きるまでおさまらないのが特徴の一つです。
しかしリン酸リチウムイオン電池は、600℃に到達するまでほとんど熱分解が起こらないため、高温な環境でも安定しており、発火や爆発が起こりにくいと言われています。
三元系リチウムイオン電池を採用してきたジャクリーは、ポータブル電源の安全性を高め、安心して使えるようにいくつもの取り組みをしています。
BMS(バッテリーマネジメントシステム)
ジャクリはリチウムイオン電池の安全性を高めるため、BMS(バッテリーマネジメントシステム)の高性能化やNCM制御機能の搭載をしています。
BMSはポータブル電源内の電圧や電流、温度などを管理する仕組みで、誤動作を検知した場合、充電・放電を自動で停止してくれます。
過充電保護、過放電保護、過電流保護、短絡保護、温度保護をすることで、バッテリーの発火・爆発を防ぎます。
2022年5月に発売された機種Jackery 2000Proからは、BMSにデュアルバッテリーチップを搭載し安全機能を追加しました。デュアルバッテリーチップにすることにより、1つのチップに障害が発生した場合でももう一方のチップが起動することで、確実に安全システムを保護することができます
耐火材料の採用
ジャクリでは安全性を高めるため、ポリカーボネートやABSアロイなどの耐火材量を採用しています。
耐久性と放熱性にも優れており、爆発や火災を起こしにくい素材です。
2022年9月に発売されたJackery 1000Proでは、強い振動に耐えられる「耐振動デザイン」採用やアメリカUL安全落下基準に適合した安全設計モデルを採用しています
安全認証の取得
世界中でビジネスを展開しているジャクリは、安全性を担保するために国際的に通用するいくつもの安全認証を取得しています。
【ジャクリ製品が取得している安全認証】
・PSE:日本の法律(電気用品安全法)で定められた安全認証
・FCC:アメリカの通信・電信および電波の安全規格
・RoHS:EUによる電子・電機機器における特定有害物の使用制限
・UN38.3:リチウム電池の国連輸送勧告試験
・防災製品等推奨品マーク:日本の一般社団法人防災安全協会が、災害時に役立つ安全な防災製品と認められた製品に与える認証マーク
三元系のリチウムイオン電池はリン酸塩と比べて事故が起きやすいのは確かです。ジャクリも2020年11月にJackery 700で1件の火災事故を起こしていますが、その事故以降に報告された事故はありません。ジャクリは三元系バッテリーを使いながらも安全機能を高めることで事故が起きない製品作りをしています
リチウムイオン電池の危険性に関しては、こちらの記事をご覧ください
「リン酸鉄より寿命が短い」というデメリットに対する取組み
機種名 | バッテリー | サイクル数 |
Jackery 2000 Plus | リン酸鉄リチウムイオン | 4000回(70%) |
Bluetti EB200P | リン酸鉄リチウムイオンリン | 3500回(80%) |
Bluetti AC 200Max | リン酸鉄リチウムイオン | 3500回(80%) |
Bluetti AC 200P | リン酸鉄リチウムイオン | 3500回(80%) |
Anker 767 | リン酸鉄リチウムイオン (GaN窒化ガリウム) | 3000回(80%) |
EcoFlow DELTA 2Max | リン酸鉄リチウムイオン | 3000回(80%) |
Jackery 2000 Pro | 三元系リチウムイオン | 1000回(80%) |
EcoFlow DELTA Max 2000 | 三元系リチウムイオン | 800回(80%) |
上のグラフは容量2000Whクラスのポータブル電源のサイクル数を比較したものです。
一般的にリン酸鉄リチウムイオンバッテリーのサイクル数は2,500~3,500回と言われるのに対し、三元系リチウムイオンバッテリーのサイクル数は500~1,000回と言われます。
ジャクリの場合、もともと500回だった三元系リチウムイオン電池のサイクル数を2022年以降に発売したJackery Proシリーズでは2倍の1000回としましたが、リン酸鉄との差はまだまだ大きいようです。
「サイクル数」とは単なる充電回数ではありません。ポータブル電源内の電気を空(0%)から満タン(100%)まで充電し、0%になるまで使い切った状態を「1 サイクル」として数えます。
サイクル数の数え方については、こちらの記事をご覧ください
このタイミングでリン酸鉄機種を発売した理由
三元系リチウムイオン電池にこだわってきたジャクリが、このタイミングでリン酸鉄採用機種(Jackery Plusシリーズ)を発売したのはなぜでしょうか。
市場のほとんどがリン酸鉄搭載機種に置き換わってきたこともありますが、おそらく次のような背景があったものと推察します。
【ジャクリがこのタイミングでリン酸鉄採用機種を発売した理由】
1) リン酸鉄を待ちわびる声が大きくなり、ジャクリのビジョン「あらゆる人に、あらゆる場所で」の「あらゆる人」の中に「リン酸鉄を使いたい人」も含める必要性が高まったから
2) リン酸鉄を採用してもある程度「軽量・コンパクト」に作れる技術的めどが立ったから
1) 「あらゆる人」の中に「リン酸鉄を使いたい人」も含めたから
最初の理由の根拠を説明します。
ジャクリはリン酸鉄リチウムイオン電池搭載のJackery 2000Plusを2023年6月、Jackery 1000Plusを2023年7月に発売した後も、さまざまな媒体で三元系搭載のJackery Proシリーズを推し続けています。
容量別にみるとPlusシリーズを出した2000Whクラスで2台、1000Whクラスで3台の機種が並行して販売されていますが、それぞれの機種で狙っている顧客層が違います。
ジャクリによると3つのシリーズのターゲットは次のとおりです。
Plusシリーズ | Proシリーズ | Basicシリーズ |
容量を増やす可能性がある人におすすめ | Basicより高い機能性を求める人におすすめ | 大容量でコンパクトさが重要な人におすすめ |
Jackery 2000Plus | Jackery 2000Pro | |
Jackery 1000Plus | Jackery 1000Pro | Jackery 1000 |
Jackery Plusシリーズはリン酸鉄リチウムイオン電池を採用しているだけでなく、エクストラバッテリーをつなぐと容量が増やせるため「容量を増やす可能性がある人におすすめ」となっています。
2) リン酸鉄でも「軽量・コンパクト」に作れるめどが立ったから
※容量1000Whクラスのポータブル電源を容量の小さい順に並べたグラフ
先に紹介したようにリン酸鉄リチウムイオン電池搭載のポータブル電源が2020年に発売されて以来、各メーカーは次々に新しい機種を発表してきました。
その間さまざまな技術の向上が図られ、最近発売されたリン酸鉄のポータブル電源はデメリットであった「重量」がずいぶんと改善されてきています。
今回発売されたJackery Plusシリーズは、リン酸鉄搭載モデルとしてはかなり軽量・コンパクトなボディーを実現しています。
とくにJackery 1000Plusの軽量化は素晴らしく、容量1000Whクラスのポータブル電源の中で一番容量がありながら(1264.64Wh)重量は14.5Kgという軽さです(グラフの右端)。
Jackery 1000Plusがいかに軽いかを知るためには、容量Wh当りの重量(重量÷容量)を見ると良く分かります。三元系リチウムイオン電池採用のJackery 1000Proより優れているのは驚きです
【容量1000Whクラスの容量Wh当りの重量】
機種名 | 重量 | 容量 (容量当り重量) | バッテリー |
Jackery 1000 | 10.6Kg | 1002Wh (10.58g) | 三元系 |
Jackery 1000 Plus | 14.5Kg | 1264.64Wh (11.47g) | リン酸鉄 |
Jackery 1000 Pro | 11.5Kg | 1002Wh (11.48g) | 三元系 |
EcoFlow DELTA 2 | 12Kg | 1024Wh (11.72g) | リン酸鉄 |
Anker 555 | 13.1Kg | 1024Wh (12.79g) | リン酸鉄 |
Bluetti AC180 | 16Kg | 1152Wh (13.89g) | リン酸鉄 |
Anker 757 | 19.1Kg | 1229Wh (15.54g) | リン酸鉄 |
まとめ
ジャクリのリチウムイオン電池を調べてみたら、同社のブレることのない一貫したものづくりの姿勢が見えてきました。
リン酸鉄リチウムイオン電池搭載ポータブル電源の発売が他社より遅れたように見えたのも、三元系リチウムイオン電池搭載ポータブル電源をこれからも推し続けているのも、どちらも同じ理由からだったのです。
最後にもう一度、ジャクリのものづくりビジョンを書いて終わります。
製品を世に生み出すだけでなく、「あらゆる人に、あらゆる場所で」というビジョンを実現するため、少しでも軽く、少しでも出力を高め、あらゆる安全機能を追加して、製品を日々向上させています
ジャクリのポータブル電源購入者のレビューコメントを読んでいると、高評価の意見が多いことに気が付きます。もしかしたらそれは、ジャクリのこの一貫した姿勢からうまれた信頼や安心感からくるのかもしれません
Jackeryについてもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください
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