みなさんこんにちは ! 管理人のありーなです
大規模災害による停電や断水時、「水」の確保は最優先課題ですよね。
ペットボトルの水を備蓄しているご家庭も多いと思いますが、もしその水が尽きてしまったらどうしますか?
そんな不安を解消しようと、我が家ではポータブル電源で動かせる「除湿器」を購入しました。
「除湿器で溜まった水を煮沸消毒したり、浄水器を通したりすれば、飲み水として使えるのでは?」と考えたからです。
たとえ飲めなくても、生活用水として使えれば、備蓄した飲料水を温存できるはず、と。
しかし、現実はそう単純ではありませんでした。除湿器の購入後、いろいろ調べてみた結果、その水にはさまざまなリスクがあることが分かってきたんです。
この記事では、実際に除湿器でどれくらい水が作れるかの実験結果をご紹介しながら、除湿器で作った水の危険性、そして災害時における安全な活用法について詳しく解説します。
● 除湿器でどれくらい水を作れるのかを知りたい!
● 除湿器のタンクに溜まった水を飲めるのかを知りたい!
● 除湿器の水の災害時の活用法を知りたい!
そんな方はぜひ続きをご覧ください。

ポータブル電源と除湿器を災害時の水源として活用できるかという疑問について、実験も交えながらくわしく調べました。正しい知識で、もしもの時の備えを万全にしましょう
除湿器でどれくらい水が作れるの?室内と屋外で実験してみた!


まず最初に、フル充電したポータブル電源に除湿器を接続し、実際にどれくらいの水ができるのかを紹介します。
稼働を開始してから1時間後、そして2時間後に、除湿器のタンクに溜まった水の量をそれぞれ記録しました。
除湿器のタンクに溜まる水の量は、除湿する場所の湿度や気密性などの環境、除湿器の方式や機種などによって、もちろん異なります。
あくまでも、一つのサンプルとしてご覧ください。
今回の実験に使った機材は、以下の通りです。
ポータブル電源:Bluetti AC70 | 衣類乾燥除湿器:Panasonic F-YHVX90 |
容量:768Wh 定格出力:1,000W | ハイブリッド方式 定格除湿能力:6.0/6.5L/日 消費電力:170/185W |
除湿器には大きく3つのタイプがあります。それぞれの特徴は以下の通りですが、実験では1年を通して除湿能力が高く、いつ被災しても多くの水が作れる「ハイブリッド式の除湿器」を使用しています
方式 | 特徴 |
コンプレッサー式 | 湿った空気を冷やして結露させ、水滴として除湿します。室温が高い梅雨〜夏場に特に強く、電気代が比較的安めです。室温が低い冬場は除湿能力が落ちます。運転音が大きめな傾向があります |
デシカント式 | 乾燥剤(ゼオライト)で水分を吸着し、ヒーターで温めて水に変えることで除湿します。室温に左右されにくく、冬場でも安定して高い除湿能力を発揮します。本体が軽く、運転音も静かな傾向があります。ヒーターを使うため、室温が上がりがちで、電気代が高くなります |
ハイブリッド式 | コンプレッサー式とデシカント式の両方を搭載し、季節や室温に合わせて自動で切り替えて運転します。一年中、高い除湿能力を発揮します。本体価格が高く、サイズも大きめになる傾向があります |
\記事内で使ったポータブル電源の詳細はこちら/





災害はいつ起きるか分かりません。わが家では除湿器で水を作ることを考えていたので、一年中、高い除湿能力を発揮してくれるハイブリッド式の除湿器を選びました。わが家で購入したPanasonic F-YHVX90はこちらです
\記事内で使った除湿器(2025年モデル)の詳細はこちら/


ポータブル電源と除湿器を使用して、「室内」で計測


気温23.7℃、湿度60%の室内で除湿を開始しました。
除湿の設定は「強」で行い、1時間後、2時間後にタンクに溜まった水の量を測りました。
スタート時 | 1時間後 | 2時間後 | |
気温/湿度 | 23.7℃/60% | 24.5℃/50% | 24.9℃/45% |
除湿器タンク推量 | 0ml | 約100ml | 約230ml |
ポータブル電源電池残量 | 100% | 65% | 32% |





室内での実験を通して作れた水は2時間で230ml程度とそれほど多くはありませんが、本当に水に困っているときであれば助かります(もちろん湿度によって水の量は増減します)。ポータブル電源と共にソーラーパネルがあれば、災害によって停電となったときでも、継続して水を作れます
ポータブル電源と除湿器を使用して、「屋外」で計測


スタート時 | 1時間後 | |
気温/湿度 | 25.4℃/69% | 26.8℃/60% |
除湿器タンク推量 | 0ml | 約200ml |
ポータブル電源電池残量 | 100% | 65% |



屋外での実験は、ベランダで行いました。一般的に屋外の湿度は室内より高いため、除湿器を使ってより多くの水が作れます。1時間の実験で約200mlの水を作れたので、室内の実験より約75%多く水を作れたことになります
除湿器タンクに溜まった水は飲めるの?


結論をいうと、除湿器タンクに溜まった水は「飲めません」
ネットで「除湿器の水 飲める」と検索すると、いくつかの記事が見つかりますが、そのほとんどが「除湿器の水を飲料水として飲むことは危険である」と指摘しています。
主な理由は以下の通りです。
1. 空気中の不純物を含んでいるから:
除湿器は空気中の水分を集めるため、空気中に漂う細菌、ウイルス、カビの胞子、ホコリ、花粉、PM2.5などの微粒子も一緒に水の中に取り込んでしまいます
2. 除湿器内部のカビや雑菌が繁殖しているから:
除湿器のタンクや内部は常に湿った状態にあり、カビや細菌が繁殖しやすい環境です。これらが水に混じって排出される可能性があります。特に、清掃を怠ると、レジオネラ菌のような有害な菌が繁殖するリスクも考えられます
また、多くの除湿器の取扱説明書には、「タンクに溜まった除湿水を飲料用・飼育用などに使用しないでください。健康を害するおそれがあります」といった注意書きが明確に記載されています。


Panasonic 衣類乾燥除湿乾燥機 F-YHVX90 取扱説明書より引用


三菱 衣類乾燥除湿器 MJ-PV250SX 取扱説明書より引用


Panasonic 衣類乾燥除湿機 F-YZJ100 取扱説明書より引用



除湿器のタンクに溜まった水が健康を害する可能性があることはお分かりいただけたかと思います。しかし、もし本当に飲み水が手に入らないような極限状況になった場合、そのリスクはどれほど高いのでしょうか?そこで、除湿器で集められた水が具体的にどれだけ危険なのか、さらに詳しく調べてみました
1. 除湿器の排水に含まれる「空気中の不純物」
除湿器が空気中の水蒸気を水に戻す際、空気中に漂うさまざまな微粒子も一緒に取り込んでしまいます。
これには、ホコリ、ダニの死骸、花粉、細菌、ウイルス、カビの胞子、アレルゲン、PM2.5、さらには排気ガス由来の化学物質などが含まれます。
除湿器はファンで空気を吸い込み、内部の冷たい熱交換器で水蒸気を結露させて水として排出する仕組みです。
この過程で、一部の微粒子はフィルターで取り除かれますが、排水の中に溶け込んだり、混じり込んだりするものも少なくありません。
除湿器のフィルターは、主に機器内部を保護するために設けられており、空気清浄機能を持つ機種もあります。
しかし、空気中の不純物を「飲用できるレベル」まできれいにする設計にはなっていません。
そのため、細菌、ウイルス、カビの胞子、花粉、ホコリなど微粒子の一部はフィルターを通過し、排水に含まれてしまいます。
これらの不純物は、煮沸消毒をしても除去できません。
健康上の問題を引き起こす大きなリスクとなるため、「除湿器の排水は飲むべきではない」という根拠の一つです。
環境省の「微小粒子状物質 (PM2.5)に関する情報」3. 注意喚起のための暫定的な指針、「微小粒子状物質 (PM2.5) に関するよくある質問 (Q&A) PDF」には、PM2.5が「喘息や気管支炎などの呼吸器系疾患への影響のほか、肺がんのリスクの上昇や循環器系への影響」があると明記されています。
また、空気中に含まれる細菌、ウイルスなども、特定の感染症やアレルギー反応など、さまざまな健康上の問題を引き起こす可能性があります



煮沸は一部の細菌を殺しますが、化学物質や重金属、PM2.5などの固形微粒子、そして細菌の死骸などは除去できません。これらは熱に強く、摂取することで健康被害を引き起こす危険性があります
2. 除湿器内部に繁殖するカビや細菌(微生物)


除湿器のタンクに溜まる水が飲めない理由の2つ目は、機器内部で繁殖するカビや細菌(微生物)です。
除湿器の内部は、常に湿気が高く、ホコリなどの栄養源も溜まりやすいため、カビや細菌にとって理想的な繁殖場所となります。
特に、水を直接扱うフィルター、タンク、そして熱交換器などは、カビや細菌が発生しやすい場所です。
これにより、悪臭が発生したり、健康被害の原因になります。
どんなにこまめに除湿器の清掃や洗浄を行っても、高温多湿となる内部の環境では、カビや細菌の発生を完全に防ぐことは非常に困難です。
一度内部でカビや細菌が繁殖してしまうと、それらは新しく集められた水の中にも継続的に混じり込んでしまいます。
この汚染された水を摂取すると、アレルギー性鼻炎や喘息などのアレルギー疾患を引き起こす可能性があります。
さらに、免疫力が低下している人の場合は、肺真菌症のような真菌感染症など、より深刻な健康問題につながるかもしれません。
最悪の場合、生命維持に危険を及ぼすような病原菌が含まれている可能性も否定できないため、注意が必要です。
飲み水が手に入らないような極限状況でも、除湿器の水を飲んではダメ
ここまでの説明で、除湿器の排水には、空気中の微粒子や機器内部で繁殖するカビ・細菌など、さまざまな不純物が溶け込んだり、混じり込んだりしていることがお分かりいただけたかと思います。
これらの不純物が、深刻な健康被害を引き起こすかもしれません。
特に、お子さんやお年寄り、病気などで免疫力が低下している方にとってのリスクは計り知れません。
もし飲み水が手に入らないような極限状況になったとしても、除湿器の水を飲むことは命取りになりかねないほどの危険をはらんでいます。
かなりのリスクを含んでいる除湿器の水は、非常時であっても、普段使いであっても、決して飲用しないでください。
「飲料用・飼育用に使えない水」の活用法:災害時に役立つ意外な使い道
飲料用・飼育用には使えない除湿器の水ですが、災害時には決して無駄ではありません。
貴重な水を節約しながら、以下のような用途に活用できます。
① トイレの洗浄水(流し水):
最も一般的な用途で、衛生的にもリスクが低いです。災害時は断水でトイレが使えなくなることが多いため、除湿水をバケツなどに溜めておき、便器に直接流すことで洗浄できます
② 掃除・拭き掃除用の水:
床や家具、汚れた場所を拭く際に使用できます。特に、断水している状況では、貴重な飲料水を掃除に使うわけにはいきませんので、除湿水が役立ちます
③ 洗濯用水(手洗い・簡易洗濯機):
衣類の手洗いや、簡易的な洗濯機(手動洗濯機など)を使用する際の洗い水・すすぎ水として利用できます。ただし、肌に直接触れる衣類の場合は、すすぎを念入りに行うか、仕上げに少量の清潔な水を使うなどの工夫が必要かもしれません
④ 植木・庭木への水やり:
食用の植物以外であれば、枯らしたくない植木や庭木への水やりとして使えます。ただし、除湿水に微量な金属が含まれている可能性もあるため、非常に高価な植物や、土壌を大切にしたい場合は避けた方が無難です
⑤ 物の冷却水(直接口に入らないもの):
直接飲用しないものの冷却(例:食品が入っていないクーラーボックスの氷の代わり、汚れても問題ない機械の冷却など)。ただし、食品と触れる可能性のある氷としては使わないでください
⑥ 車の窓やボディの洗浄水:
車体の汚れを洗い流したり、窓を拭いたりする際に利用できます
⑦ 緊急時の消火用水:
万が一の小規模な火災発生時、初期消火の補助水として利用できる可能性があります。ただし、あくまで「補助」であり、主要な消火活動には適しません
加湿器の水を使えない「飼育用の水」とは具体的にはどのようなものか、その例を紹介します。
「飼育用の水」とは、動物や植物を育てる際に必要となる水全般を指しています
① ペットの飲料水:
犬、猫、鳥、ハムスターなどのペットが日常的に飲む水です。人間と同様に、不純物や病原菌が含まれていると、ペットの健康を害する恐れがあります
② 観賞魚の水槽の水:
金魚や熱帯魚などの観賞魚を飼育する水槽に入れる水です。水質は魚の健康に直接影響するため、不純物が多い除湿水は魚の病気や死につながる可能性があります。特に、塩素が抜けていることで、水道水をカルキ抜きする手間は省けますが、その分、雑菌が繁殖しやすくなっています
③ カメや両生類、昆虫などの飼育用水:
陸ガメの水飲み場、カエルやサンショウウオなどの水場、あるいはカブトムシやクワガタの飼育ケース内の保湿目的の水などです。これらも水質に敏感な生物が多いため、除湿水は不適切です
④ 植物への水やり(特に食用の植物や繊細な植物):
観葉植物や庭木だけでなく、家庭菜園の野菜やハーブなど、食用になる植物への水やりも含まれます。除湿水に含まれる不純物や微生物が植物の生育に悪影響を与えたり、収穫した植物を通して人体に間接的な影響を及ぼしたりする可能性も考えられます
⑤ 水耕栽培や水差し用の水:
水耕栽培では水が植物に直接吸収されるため、不純物の影響を受けやすいです。また、植物を水に挿して根を出させる「水差し」でも、水質が悪いと植物が枯れてしまうことがあります
⑥ 動物の体を洗う水:
ペットのシャンプーや体を拭くための水、鳥の羽を洗う水などです。皮膚に付着した不純物が炎症を引き起こしたり、口に入ってしまったりするリスクがあります



「飼育用」とは少し違いますが、加湿器に入れる水としても使わない方が良いでしょう。除湿水は微生物や不純物を含んでいるため、これを加湿器に入れると、加湿器の内部でこれらの不純物が拡散され、室内の空気を汚染する可能性があります
まとめ:ポータブル電源×除湿器で水を作る!本当に飲める?安全な活用法を徹底解説
この記事では、ポータブル電源と除湿器を災害時の水源として活用できるかという疑問について検証しました。
実験の結果、除湿器はポータブル電源で稼働し水を作り出せるものの、その水は飲用には適さないことが判明しました。
空気中の不純物や機器内部で繁殖するカビ・細菌が含まれるため、煮沸消毒や簡易的な浄水器では健康リスクを排除できません。
しかし、トイレの流し水や掃除、洗濯など、生活用水としては十分に活用可能です。
災害時の備えとして、除湿器は飲料水の節約に貢献する便利なアイテムですが、水の用途を明確に分けることが重要です。
正しい知識で、もしもの時の備えを万全にしましょう。
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