みなさんこんにちは!管理人のありーなです。
停電時に冷蔵庫を使いたいけど、ポータブル電源で冷蔵庫はどれくらい動くの?停電時の効率的な使い方は?
そんな疑問を抱えていませんか?
この記事では、「ポータブル電源で家庭用冷蔵庫を使いたい」と考えている人が、抱くであろう疑問を丁寧に解説しています。
● ポータブル電源で家庭用冷蔵庫を使えるの?
● ポータブル電源で家庭用冷蔵庫はどれくらい使えるの?
● 停電時、ポータブル電源に冷蔵庫をすぐにつないでも大丈夫?
● 停電時、ポータブル電源と冷蔵庫はすぐにつないだ方がいいの?しばらく待った方がいいの?
● 停電時、冷蔵庫以外に食品の鮮度を保てる方法はあるの?
● 停電が起きるかもしれないとき、冷蔵庫にできる事前の対策は?
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ続きをご覧ください。

停電時、ポータブル電源で使いたい人が多い「家庭用冷蔵庫」。ポータブル電源と冷蔵庫の上手な使い方を知っていれば、限られた電力を効率的に使えます!
ポータブル電源で家庭用冷蔵庫を使うことに関する質問
Q1 ポータブル電源で家庭用冷蔵庫を使えますか?
A:はい、条件があえば可能です。
ポータブル電源で家庭用冷蔵庫を動かすには、ポータブル電源の「定格出力」「最大出力」と、冷蔵庫の「定格消費電力」「突入電流」がポイントです。
① ポータブル電源の「定格出力」と冷蔵庫の「定格消費電力」の関係
ポータブル電源の「定格出力」が、家電製品の「消費電力」を上回る場合、その家電製品を動かせます。
つまり、ポータブル電源で家庭用冷蔵庫を使う場合、次の条件を満たすことが必要です。
ポータブル電源の「定格出力」 > 家庭用冷蔵庫の「定格消費電力」
ここで注意が必要なのは、家庭用冷蔵庫の「定格消費電力」です。
冷蔵庫内のラベルに書かれている、「電動機の定格消費電力」と「電熱装置の定格消費電力」が、家庭用冷蔵庫の「定格消費電力」です。


※ 我が家の家庭用冷蔵庫の庫内に貼られているラベル
「電動機の定格消費電力:79W」は、冷蔵庫を冷やす為のコンプレッサー(圧縮機)を動かすための電力です。
冷蔵庫が運転している時間のほとんどは、この消費電力内で稼働します。
「電熱装置の定格消費電力:246W」は、冷蔵庫の霜取りヒーターなどを動かすための電力です。
数時間に1回や1日に数回程度など、必要なときにだけ作動します。



たとえば、家にある冷蔵庫が「電動機の定格消費電力:79W」と「電熱装置の定格消費電力:246W」の場合、これらのうち大きい方の数値(246W)よりもポータブル電源の定格出力が大きい必要があります
① 電動機の定格消費電力:
冷蔵庫を冷やす為のコンプレッサー(圧縮機)を動かすための電力です。コンプレッサーが冷媒を循環させることで、冷蔵庫内を冷やします。冷蔵庫の基本的な冷却機能のほとんどは、この電動機によって担われています
② 電熱装置の定格消費電力:
冷蔵庫の霜取りヒーターや霜つき防止ヒーター、保温ヒーターなどを動かすための電力です。
・霜取りヒーター:冷凍室の冷却器に付着した霜を溶かすために一時的に作動します
・霜つき防止ヒーター:ドアパッキンなどに内蔵され、外気の結露を防ぎドアの固着やカビを抑えます
・保温ヒーター:一部の機種で、熱交換器の保温などに使われます
\ ポータブル電源の定格出力ついては、こちらの記事もご覧ください/


② ポータブル電源の「最大出力」と冷蔵庫の「突入電流」の関係
冷蔵庫のコンプレッサーは、動き出す瞬間に「電動機の定格消費電力」の数倍〜10倍程度の大きな電力(突入電流、または起動電力)を一時的に消費します。
このため、ポータブル電源は、普段の運転時の消費電力だけでなく、この起動時の突入電流にも耐えられる「最大出力」を持っている必要があります。
ポータブル電源の「最大出力」 > 家庭用冷蔵庫の「突入電流」
最近の冷蔵庫の多くはインバーター制御を採用しています。インバーター制御の冷蔵庫は、コンプレッサーの回転数を細かく制御できるため、突入電流を大幅に制御できるメリットがあります。このため立ち上げ時に瞬間的に大きな電力を消費するのではなく、定格電力に近い、あるいはそれを少し超える程度の電力で起動できるモデルが増えています



ポータブル電源で家庭用冷蔵庫を使うには、冷蔵庫の「電動機の定格消費電力」以上の「定格出力」を持ち、かつ「起動時の突入電流」に耐えられる「最大出力」があるモデルを選びましょう。最新のインバーター制御冷蔵庫は突入電流が抑えられている傾向がありますが、古い冷蔵庫の場合は特に注意が必要です
\ ポータブル電源の最大出力ついては、こちらの記事もご覧ください/
.jpg)
.jpg)
Q2 ポータブル電源で家庭用冷蔵庫がどれくらい使えますか?
A:ポータブル電源の容量と冷蔵庫の消費電力によって、稼働時間は変わります
ポータブル電源の稼働時間は、次の計算式で目安を算出できます。
稼働時間 = ポータブル電源の容量(Wh)× 変換効率(0.8程度)÷ 冷蔵庫の消費電力(W)
この計算式で使う冷蔵庫の「消費電力(W)」は、Q1で説明した「定格消費電力」とは異なります。
冷蔵庫は常に一定の電力を消費するわけではなく、運転状況によって変動するため、年間の平均値から算出するのが一般的です。
冷蔵庫の「年間消費電力量(kWh/年)」は、庫内に貼られたラベル(下写真の赤枠部分)に記載されています。
これは、JIS C 9801という規格に基づき、定められた周囲温度や扉の開閉頻度などの標準的な条件下で測定された数値です。
この年間消費電力量を使い、「1時間あたりの平均消費電力」を計算しましょう。


上写真の数字を例として、年間消費電力量が266kWhの冷蔵庫で計算してみます。
① kWhに1,000を掛けてWhに変換する:
266kWh/年 × 1,000 = 266,000Wh/年
② 年間の総時間を算出する:
24時間/日×365日=8,760時間/年
③ 1時間当りの平均消費電力を算出する:
266,000Wh/年 ÷ 8,760時間 ≒ 30.4W
この計算で出た約30.4Wが、冷蔵庫の年間を通した平均的な消費電力の目安となります。
この数値を上記の稼働時間計算式に当てはめれば、ポータブル電源でどれくらい動かせるかの目安が算出できます。
上で算出した「平均消費電力(W)」とポータブル電源の容量(Wh)を入力するだけで、冷蔵庫の稼働時間(目安)が確認できるシミュレーターです
ポータブル電源 稼働時間シミュレーター
※ポータブル電源は、バッテリーの直流電力を交流電力に変換する際に、必ず電力ロスが発生します。この効率は製品によって異なりますが、一般的には80%〜90%程度が目安とされています。数値が高いほどロスが少なく、より長く電化製品を使えます。
※この計算はあくまで目安です。実際の稼働時間は、電化製品の具体的な動作モードや環境要因などにより変動する場合があります。
このシミュレーターで算出された「稼働時間」は、あくまでも理論値です。実際にポータブル電源で冷蔵庫を使える時間は、計算結果ほど長くはないと理解しておきましょう。
なぜなら、計算に入力した冷蔵庫の「平均消費電力(W)」は、特定の標準的な条件下で、年間を通して使った場合の目安だからです。
ポータブル電源で冷蔵庫を使うのは、多くの場合、突然の停電といった「異常事態」です。このような状況では、冷蔵庫は計算で求めた平均消費電力よりも、実際には多くの電力を消費することがほとんどです。
これは、以下のような理由によります。
- 起動時の電力消費:
ポータブル電源につなぎ直す際に、一時的に大きな電力(突入電流)がかかります - 庫内を急いで冷やす:
停電で庫内温度が上がっている場合、冷蔵庫は設定温度まで急いで冷やそうとするため、コンプレッサーが長時間稼働します - 頻繁な霜取り運転::
高負荷な運転が続くと霜がつきやすくなり、霜取り運転の頻度が増えることがあります。霜取り運転は、コンプレッサーの稼働よりも多くの電力を消費します
これらの理由から、停電時にポータブル電源で冷蔵庫を動かす場合、稼働時間は理論値よりも短くなることを覚えておきましょう
Q3 停電時、冷蔵庫をポータブル電源にすぐつないでも大丈夫ですか?
A:停電後、すぐにポータブル電源につないで良いかは、状況によります
ポイントは「振動」の有無です。
引っ越しなどで冷蔵庫を動かした後は、運搬中の振動でコンプレッサー内のオイルや冷媒ガスが一時的に不安定になることがあります。。
そのため、通常は10分程度待ってから電源を入れるのが推奨されています。
停電時にポータブル電源へつなぎ替える際も、この「振動」があったかどうかで判断が変わります。
① 地震による停電の場合:
もし地震の揺れが原因で停電となり、冷蔵庫に強い振動が加わった可能性がある場合、引っ越し時と同じようにすぐにポータブル電源につなぐのは避けましょう。地震の揺れが冷蔵庫内部のコンプレッサーや配管に影響を与えている可能性があるため、最低でも10分〜30分程度待って、内部のオイルや冷媒が安定するのを待つのが安全です
② 台風など、振動を伴わない停電の場合:
台風による停電や、単なる電力会社の都合など、冷蔵庫に振動が加わっていない停電であれば、すぐにポータブル電源につないでも問題ありません
Q4 停電発生後、ポータブル電源と冷蔵庫をすぐにつないだ方が良いでしょうか?
A:停電発生後、2時間程度放置した後にポータブル電源とつなぐのが良いでしょう
停電後、ポータブル電源と冷蔵庫をすぐにつないだ方が良いのか、それともしばらく待ってからつないだ方が良いのか、実際に試した結果を紹介します
突然の停電では、限られたポータブル電源の電力を少しでも長く使って冷蔵庫を動かしたいものです。
そこでここでは、停電後、ポータブル電源と冷蔵庫をすぐにつないだ方が良いのか、それともしばらく待ってからつないだ方が良いのかを検証します。
皆さんは「冷蔵庫は密閉性が高いため、停電になっても庫内の温度はしばらく上がらない」と聞いたことありませんか?
もしそれが本当なら、停電後すぐにポータブル電源と冷蔵庫をつなぐのではなく、しばらく経ってからつなぐのが良いのかもしれません。
しかし一方で、しばらく待つことにより冷蔵庫内の温度が上がってしまったら、再度庫内を冷やすためにより多くの電力が必要になるような気もします。
いったいどちらがより効率的にポータブル電源の電気を使えるのでしょうか?
それを検証するために、2つの実験を行いました。
停電発生後、冷蔵庫にどのタイミングでポータブル電源をつなぐのかを判断する参考としてください。
実験1) 停電後、すぐにポータブル電源につないでみる
停電後、ポータブル電源と冷蔵庫をすぐにつないだときの、冷蔵庫の稼働時間を調べます
実験2) 停電後、冷蔵庫を4時間放置し、その後ポータブル電源につないでみる
停電後、しばらく待ってからポータブル電源と冷蔵庫をつないだときの冷蔵庫内の温度変化と、4時間放置後、ポータブル電源をつないでからの冷蔵庫の稼働時間を調べます
実験 1) 停電後、すぐにポータブル電源につないでみた
まず最初に、停電時、冷蔵庫の電気が止まった直後にポータブル電源に接続したことを想定した実験を行いました。
すぐに電源を挿し変えているので、冷蔵庫内の温度はほとんど上がっていないはずです。
実験に使ったポータブル電源は、Bluetti AORA100(容量1,152Wh)で、電池残量が、100%から半分の50%(容量 約576Wh)になるまでの時間を計測しました。
Q2で紹介したシミュレーターで算出される「理論値」とも比べてみましたので、ご覧ください。
条件 | 稼働時間(50%:576Wh消費) |
停電後すぐにポータブル電源に接続 | 約 5時間25分 |
理論値 ※(Q2シミュレーターで算出) | 約16時間6分 |
※ 理論値の稼働時間(16時間6分)は、Q2で算出したわが家の冷蔵庫の平均消費電力(30.4W)と実験に使ったポータブル電源Bluetti AORA100の50%の容量(576Wh)をシミュレーターに入れて算出した数字



停電を想定して冷蔵庫をポータブル電源に接続してみたら、理論値の1/3程度しか稼働しないという結果になりました。これは停電により一度電気が止まったため、起動時の突入電流(起動電力)やコンプレッサー、霜取りヒーターなどの電力消費が増えたためと思われます
ポータブル電源:Bluetti AORA100 | 冷蔵庫:三菱ノンフロン冷凍冷蔵庫 MR-WZ55K-W |
容量:1,152Wh 定格出力:1,800W | 消費電力量:266kWh/年 電動機の定格消費電力:79W 電熱装置の定格消費電力:246W |
\Bluetti AORA100の詳細はこちら/


実験 2) 停電後、しばらく冷蔵庫を放置し、その後ポータブル電源につないでみた
次に、停電後、冷蔵庫をしばらく放置してからポータブル電源に接続する実験を行いました。
パナソニックのウェブサイトには、「冷蔵庫は庫内が十分に冷えている状態で停電になった場合、ドアを開けなければ約2~3時間、庫内の冷えを保つことができます」とあります(Panasonic のよくある質問より引用)。
密閉性の高い冷蔵庫は、停電後すぐに庫内温度が上がるわけではないようですが、実際にはどれくらいの温度上昇があるのでしょうか?
また、しばらく放置してからポータブル電源につないだ場合、冷蔵庫はどれだけ稼働できるのでしょうか?
これらの疑問を解決するため、次の手順で実験しました。
① 停電を想定して冷蔵庫の電源を抜き、4時間放置しました:
この間、冷蔵室、冷凍室、野菜室の温度を1時間ごとに計測し、庫内の温度がどのように変化するかを記録しました
② 4時間経過後、ポータブル電源に冷蔵庫を接続しました:
ポータブル電源の電池残量が100%から50%に減少するまでの時間を計測しました
実験 2)①の結果: 停電後、冷蔵庫内の1時間ごとの温度変化


冷蔵庫のコンセントを抜いて停電と同じ状況を作った後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後の冷蔵庫内の温度を測りました。
冷蔵室、冷凍室、野菜室の3か所で温度を測りましたが、冷蔵室と冷凍室の温度変化が大きく、野菜室の温度は4時間経ってもほとんど変わりませんでした。
【停電後の冷蔵庫内温度推移】
スタート時 | 1時間後 | 2時間後 | 3時間後 | 4時間後 | |
冷蔵室温度 | 3.9℃ | 5.4℃ | 6.2℃ | 6.6℃ | 7.4℃ |
冷凍室温度 | -19.2℃ | -15.7℃ | -13.1℃ | -10.9℃ | -9.2℃ |
野菜室温度 | 6.2℃ | 6.2℃ | 6.3℃ | 6.5℃ | 6.7℃ |
(室内温度) | (25.2℃) | (25.3℃) | (25.4℃) | (25.2℃) | (26.6℃) |
Panasonicウェブサイト 省エネにもなる!冷蔵庫の適正温度と適切な食品の保存先 によると、冷蔵庫の適正温度は次の通りとされています。今回の実験結果でこの適正温度を超えた部分は、赤字にしています(上表参照)
・冷蔵室:約 3℃~ 6℃
・冷凍室:約 -20℃~ -18℃
・野菜室:約 3℃~ 8℃



Bluetti公式サイト「冷蔵庫は停電してから何時間持つ?停電時の対策やNG行動を解説
実験 2)②の結果: 4時間放置後、ポータブル電源に接続して稼働できる時間数


停電してから4時間後、冷蔵室 7.4℃、冷凍室 -9.2℃、野菜室 6.7℃の状態で、冷蔵庫をポータブル電源(Bluetti AORA100)につなぎ電気を入れました。
冷蔵庫内の温度がかなり上がった状態からスタートしたので、庫内を冷やすために通常より多くの電力を消費したようです。
ポータブル電源(Bluetti AORA100)の電池残量が100%から50%になるまでの時間を測った結果がこちらです。
停電後、冷蔵庫放置時間 | ポータブル電源による冷蔵庫稼働時間 |
4時間 | 約 3時間38分 |
実験1) および2) の結果から分かったこと
停電が起きた時、ポータブル電源と冷蔵庫をすぐにつなぐべきか、それともしばらく待ってからつなぐべきか。
この疑問を解決するため、2つの実験を行いました。
その結果が、最初に書いたこの一文ですが、
A:停電発生後、2時間程度放置した後にポータブル電源とつなぐのが良いでしょう
より詳しく言うと、次の通りです。
停電時は慌ててポータブル電源につなぐのではなく、まず冷蔵庫の扉を閉めたまま2時間程度放置した後、ポータブル電源を接続するのが最も効率的と言えそうです。
季節や室内温度などにも影響を受けますが、「2時間程度の放置」を基準に、停電時の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
この結論を導き出した根拠は次の通りです。
実験 1)では、停電後すぐにポータブル電源(Bluetti AORA100:容量1,152Wh)を冷蔵庫に接続。
その結果、バッテリー残量が100%から50%(約576Wh消費)になるまで、約5時間25分(325分)稼働しました。
一方、実験 2)では、停電後冷蔵庫を4時間放置した後にBluetti AORA100に接続。
この場合、バッテリー残量100%から50%になるまで、約3時間38分(218分)の稼働でした。
これらの結果に基づき、停電後1時間、2時間、3時間放置した場合の稼働時間を計算し、以下の表とグラフにまとめました。
停電後すぐに ポータブル電源に接続 | 4時間放置 | 3時間放置 | 2時間放置 | 1時間放置 | |
実験 1) | 実験 2) | 実験1) 2)の結果から算出 | |||
ポータブル電源の稼働時間 | 約 5時間25分 =325分 | 約 3時間38分 =218分 | 約 4時間5分 =245分 | 4時間32分 =272分 | 約 4時間59分 =299分 |


上で紹介したポータブル電源の稼働時間に、ポータブル電源を接続せず、冷蔵庫を放置していた時間を加えることで、停電後、冷蔵庫内の食品鮮度をトータルでどれだけ長く保てたかを判断する指標となります。
この結果を見ると、停電後すぐに冷蔵庫をポータブル電源に接続するよりも、しばらく放置してからつなぐ方が、より長時間食品鮮度を保てることが分かりました。
ポータブル電源の接続タイミング | A:ポータブル電源の稼働時間 | B:ポータブル電源を接続しない時間(放置時間) | A+B:食品鮮度を維持できた合計時間 |
停電後すぐに接続 | 約 5時間25分 | 0時間 | 約5時間25分 |
1時間放置 | 約 4時間59分 | 1時間 | 約 5時間59分 |
2時間放置 | 約 4時間32分 | 2時間 | 約 6時間32分 |
3時間放置 | 約 4時間5分 | 3時間 | 約 7時間5分 |
4時間放置 | 約 3時間38分 | 4時間 | 約7時間38分 |
ここで気になるのは、冷蔵庫を放置している間に庫内の食品が悪くならないかという点です。
Panasonicが「冷蔵庫は庫内が十分に冷えている状態で停電になった場合、ドアを開けなければ約2~3時間、庫内の冷えを保つことができます」と言っていると先に紹介しました(Panasonic のよくある質問より引用)。
また、実験2)で実施した庫内温度の変化計測でも、2時間程度であれば庫内の適正温度がおおよそ保てることを確認できました。
Q5 停電時、冷蔵庫以外に、食品の鮮度を保つ方法はありませんか?
A:他の方法もありますが、特別な事情がない限り、冷蔵庫が一番おすすめです
停電時に食品の鮮度を保つ方法はいくつかありますが、基本的には食品は冷蔵庫に入れたままで、冷蔵庫の扉を開けずに、冷気を逃がさないことが最も重要です。
一般的なクーラーボックスや発泡スチロールの箱は、特別な条件がない限り、電気の止まった冷蔵庫より保冷性が劣るため、焦って移し替えるのは逆効果です。



クーラーボックスの中には、真空断熱パネルを採用した高性能なものもあります。アウトドアやフィッシング用途の「ハードクーラー」と呼ばれるジャンルで、冷蔵庫より優れた保冷性を持つものも多く、数日間〜1週間以上も氷を保持できるほどの保冷力を持つ商品も発売されています。このような高性能なクーラーボックスであれば、防災用品として検討する価値は十分にあります
Q6 停電が起きるかもしれないとき、冷蔵庫にどんな対策をすべきですか?
A:停電のリスクがある場合、事前に冷蔵庫側でできる対策がいくつかあります
台風などで停電のリスクがある場合、事前にポータブル電源を満充電にしておくのはもちろん大切ですが、冷蔵庫自体を工夫することで、停電時も中の食品をより長く守れます。
次のような対策を事前に行うことで、いざ停電が起きても、冷蔵庫の保冷力を最大限に引き出し、大切な食品を守ることができます。
① 設定温度を「強」にして、十分に冷やす:
停電が予想される数時間前には、冷蔵庫(冷蔵室・冷凍室ともに)の設定温度を普段より「強」に設定し、庫内を徹底的に冷やしておきましょう。こうすることで、停電後も冷えが長持ちしやすくなります
② 冷蔵庫の中身を整理し、冷気の流れを良くする:
冷蔵室は、食品を詰め込みすぎると冷気の流れが悪くなります。停電のリスクがあるときは整理整頓し、冷気の吹き出し口や吸い込み口を塞がないように配置しましょう
③ 冷凍庫はぎっしり詰める:
冷凍庫は、食品同士が保冷剤の代わりになり、ぎっしり詰まっている方が保冷効果が高まります。もしスペースがあれば、普段冷蔵室に入れている日持ちする飲み物などを一時的に冷凍庫へ移しておくのも良い方法です
④ 保冷剤や凍らせたペットボトルを用意する:
冷凍庫に市販の保冷剤をたくさん入れて凍らせておきましょう。保冷剤がない場合は、ペットボトルに水を入れて凍らせておくのも有効です。これらは停電時に冷蔵庫内に入れて保冷効果を高めたり、クーラーボックスに入れて使うこともできます
⑤ 停電時に取り出すであろう物を事前に出しておく:
停電中は極力扉を開けたくありません。よく飲む飲み物や、すぐに使う可能性のあるものは、停電前に冷蔵庫から出してクーラーボックスに入れておくか、冷蔵庫内の一番手前に置いておくと良いでしょう
まとめ:ポータブル電源で「家庭用冷蔵庫」を使いたい人の疑問 すべて解決します!
この記事では、ポータブル電源で家庭用冷蔵庫を使う際のさまざまな疑問にお答えしてきました。
ポータブル電源で冷蔵庫を動かすには、ポータブル電源の「定格出力」や「最大出力」が、冷蔵庫の「消費電力」や起動時の「突入電流」を上回る必要があります。
冷蔵庫がどれくらい使えるか(稼働時間)はポータブル電源の容量と冷蔵庫の年間消費電力量で決まりますが、これはあくまで理論値です。
実際の停電時には、冷蔵庫の負荷が増えるため、理論値よりも稼働時間が短くなることに注意しましょう。
また、停電時の状況に応じた使い方も重要です。
例えば、地震などで冷蔵庫に強い揺れが加わった際は、すぐに電源を繋がずに少し待つのが安全です。
さらに、実験結果からは、停電後すぐにポータブル電源に繋ぐよりも、冷蔵庫を2時間程度放置してから繋ぐ方が、食品の鮮度をより長く保てることがわかりました。
この記事には、
- 停電時に冷蔵庫以外で食品鮮度を保つ方法
- 停電が起きそうな時の冷蔵庫の事前対策
など、もしもの時に役立つ情報が満載です。
防災対策としてポータブル電源の購入を検討する際は、ぜひ参考にしてください。
\ 人気のポータブル電源を安く買うなら/
コメント