みなさんこんにちは ! ありーなです
「ポータブル電源の容量で知っておくべきことは?」「どんな点に気を付けて容量を選べばいいの?」
そんな疑問にお答えします
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目次
ポータブル電源の「容量」とは?
ポータブル電源の「容量」とは、バッテリーに溜められる電気の量のことで、Wh(ワットアワー)という単位で表示されます。
同じ電化製品を使うなら、より大きな容量を持つポータブル電源ほど長く使えるため、容量が大きな機種ほどさまざまな用途に使えて便利です。
【大容量ポータブル電源とは?】
さまざまな場所で「大容量ポータブル電源」などと言われることがありますが、どこから「大容量」なのかは曖昧です。容量500Wh以上の機種を「大容量」と言っているところもあれば、1000Wh以上のところもあります。最近はこれまでにない大きな容量の機種が次々に発売されており、大容量の基準も変わっていくのでしょう。
本ブログでは容量1000Wh以上の機種を「大容量」としており、次のように分類しています
分類 | 容量 |
超大容量 | 2000Wh以上 |
大容量 | 1000~1999Wh |
中容量 | 500~999Wh |
小容量 | 500Wh未満 |
ポータブル電源の容量はやかんの中の水のようなイメージですね
1) 容量の単位「Wh」とは
Wh(ワットアワー)とは「何ワット(W)の電化製品を何時間(h)使えるか」を表した単位です。
つまり Wh = W(消費電力) × h(使用時間)を表しています。
単純化して説明すると、容量1000Whのポータブル電源なら、合計1000Wh分の電化製品を使えます。
具体例を挙げると、次のような計算です。
【1000Wh分の電化製品使用の例】(上の写真も参照)
① 消費電力1000Wのドライヤーなら1時間(1h)使用可能
②消費電力250Wテレビなら4時間(4h)使用可能
複数の電化製品を使う場合も、使えるのは合計1000Whまでです
例. 1000Wのドライヤーを30分(0.5h)と、250Wのテレビを2時間(2h)使用可能
容量1000Whのポータブル電源だからと言って、実際は1000Wh分の電気を全て使い切ることはできません。DC-AC変換ロスが生じるので実際使える電力量は20%程少なくなりますし(実容量は8割程度)、電気を全て(0%まで)使い切ってしまうとバッテリーの劣化を招くからです
2) モバイルバッテリーで使われる「mAh」と「Wh」の違い
ポータブル電源の容量は「Wh」で表記されることが多いですが、「mAh(ミリアンペアアワー)」が使われる場合もあります。
「mAh」は「何ミリアンペア(mA)の電流を何時間(h)流せるか」を表しており、モバイルバッテリーのように小型のバッテリーでよく使われる単位です。
mAh(ミリアンペアアワー)をWh(ワットアワー)に変換するときは、次の計算式が頭に入れておけば分かりやすいかと思います。
W(ワット:消費電力)=V(ボルト:電圧)x A(アンペア:電流)
153,600mAhのポータブル電源のWhを計算してみます。
【153,600mAhのポータブル電源のWhを知りたい時】
1. 153,600mAhを1000で割ってAhに変換する
153,600mAh ÷1000 =153.6Ah
2. 153.6Ahにポータブル電源のV数を掛ける(仮にV数を3.7Vとします)
153.6Ah × 3.7V = 568Wh
153,600mAh のポータブル電源は568.32Whです
mAh ⇒ Wh に変換する場合、両方についている「h」を一旦取り外してみると mA ⇒ Wです。青字で書いた数式「W=VxA」に当てはめて考えると、A(h)にVを掛ければW(h)が出ることが分かります。WhをmAhに変換するときは、青字の数式をA=W÷Vと読み替えて計算するだけです
ポータブル電源の変換効率(変換ロス)と実容量
ポータブル電源は直流(DC)の電気をバッテリーに蓄電します。
電力会社から家庭に送られてくる電気は交流(AC)なので、ポータブル電源に壁のコンセントから充電するときは、交流から直流に変換します。
またポータブル電源に溜めた直流(DC)の電気をAC出力ポートで使う時、直流(DC)を交流(AC)に変換して出力します。
この時発生する損失を「変換ロス」と言い、機種によって10%~25%程度のロスが発生します。
つまり容量1000Whのポータブル電源で20%の変換ロスが発生する場合、実際に使える容量(実容量)は800Whです。
「変換ロス」の逆からの見方が「DC-AC変換効率」です。電気をどれだけ効率的に使えるかを表す数字で、一般的には75%~90%程度と言われています
変換効率を考慮した場合の電化製品使用時間計算
ポータブル電源に変換ロスがあるならば、実際に使える時間はどれくらいでしょうか?
先ほど使ったドライヤーとテレビの例を使い、実際に使用できる時間を計算してみましょう。
写真にある容量1000Whのポータブル電源のDC-AC変換効率が80%と仮定した場合、実際に使える容量は800Whです。
つまり1000Wのドライヤーと250Wのテレビの使える時間は次の通りです。
【実容量800Wh分の電化製品使用の例】(上の写真も参照)
① 消費電力1000Wのドライヤーなら0.8時間(0.8h)使用可能
②消費電力250Wテレビなら3.2時間(3.2h)使用可能
複数の電化製品を使う場合も、使えるのは合計800Whまでです
1000Wのドライヤー0.4時間と、250Wのテレビ1.6時間使用できます
バッテリーを劣化させない「容量」の使い方
ポータブル電源は使い方次第でバッテリーの劣化速度を遅らせることができます。
バッテリーの劣化を防ぐためには余裕をもって使うことが大切で、電池残量が20%~80%の間で充電・放電しながら使うのが推奨されています。
とくに電気を全て使い切る使い方はNGで、電気がある程度残っている段階で「継ぎ足し充電」して使います。
「DC-AC変換効率」や「バッテリーを劣化させない使い方」まで考慮した上で、自分に必要なポータブル電源の容量を考えられれば理想ですね
ポータブル電源の容量を選ぶポイント
では一体どれくらいの容量があるポータブル電源が必要なのでしょうか?
その答えは、人それぞれです
人それぞれ考慮すべきポイントは違いますが、変数の例として次のようなものがあげられます。
【自分にとって必要な容量を考えるときの変数】
・ポータブル電源をどんな場面で使いたいのか?
・どの電化製品をどれくらいの時間使いたいのか?
・その電化製品の消費電力は何Wあるのか?
・ポータブル電源を何人で使うのか(家族構成)?
・何日分の電気を蓄えておきたいのか? など
各メーカーが出している必要容量の試算/目安の例
参考までに各ポータブル電源メーカーが出している容量の試算/目安の例を紹介します。
【1. Bluetti(ブルーティ)社の試算】
上の写真はBluetti(ブルーティ)社が出している「災害停電時の生存のためのシミュレーション」です。
災害に備えてポータブル電源を購入する人にとって参考になる試算で、4人家族で1日2,529.5Wh必要としています。
この数字を算出した根拠は、スマホ4台+LEDランタン3台+ポータブル冷蔵庫24時間+扇風機(or電気毛布)7時間+炊飯器1時間です。
※Bluetti 5,000Wh何にどう使える?記載のデータを元に図解
【2. EcoFlow(エコフロー)社の試算】
EcoFlow(エコフロー)社は「緊急時の家庭での最低限必要な電力」を示しており、1日当り1,880Whの電気が必要と試算しています。
算出根拠は、4つの照明+扇風機+ルーター+ラップトップ+スマートフォンとしています(消費電力や使用時間などは不明)。
※EcoFlow公式アマゾン店 DELTA Pro商品ページより抜粋
【3.Anker(アンカー)社の目安】
・デイキャンプ:200Wh以上
・お泊りキャンプ:500Wh以上
・防災備蓄:700Wh以上
・節電:700Wh以上
※Anker ポータブル電源の選び方|容量や用途などのポイントで紹介より抜粋
【4.Jackery(ジャクリ)社の目安】
①Jackery ポータブル電源の選び方より抜粋
・日帰りキャンプや1日程度の使用:200Wh~
・キャンプや車中泊で扇風機、電気毛布などを使用する:350Wh~
・連泊キャンプや車載冷蔵庫など大型家電の使用:400Wh~
・防災目的としての使用を想定:500Wh~
②「徹底解説」用途別ポータブル電源容量目安を紹介より抜粋
アウトドア(キャンプや車中泊)におすすめの容量目安
・1日~2日間:400~500Wh
・2日~3日間:700Wh~
防災用におすすめの容量目安
・1000Wh以上
ポータブル電源メーカー各社の試算/目安を見てもわかるように、どのような想定をするかによって「必要な容量」は変わってきます
まとめ
今回の記事では「容量に関して知っておくとよいこと」「容量選びのポイント」などを紹介しました。
ポータブル電源の購入前に「容量」について深く考えることはないかもしれませんが、「DC-AC変換効率」や「バッテリーを劣化させない使い方」など、知っておくとよいことが意外とあります。
自分に必要な「容量」を見極めるためには、ポータブル電源を使っている自分の姿をイメージしながら具体的に考え、積み上げていくことが必要です。
ポータブル電源の用語を説明しているシリーズ記事は、こちらの目次からご覧ください
【目次:シリーズ ポータブル電源の用語】
#1 ポータブル電源とは?使い道は?
#2 ポータブル電源の「容量」-考え方と選ぶポイント-
#3 ポータブル電源の「定格出力」-定格出力と使える家電の関係、定電圧機能-
#4 ポータブル電源の「最大出力」-最大出力の役割、起動電力との関係-
#5 ポータブル電源の「環境温度」-推奨温度、高温・低温環境でのリスクと対策-
#6 ポータブル電源の「寿命」-サイクル数の考え方、長持ちされる使い方-
#7 ポータブル電源の「出力ポート」-AC・DCポートの種類と用途-
#8 ポータブル電源の「バッテリー」-充電/放電の仕組み、リチウムイオン電池の種類・特徴-
#9 ポータブル電源の「波形と周波数」-波形と周波数の種類-
#10 ポータブル電源の「静音性」-確認方法・選び方-
#11 ポータブル電源の「スマホアプリ」-できること・実際の操作-
容量別ポータブル電源の比較は、こちらをご覧ください
容量ごとのポータブル電源機種比較は、こちらの記事をご覧ください
ポータブル電源のセール情報は、こちらをご覧ください
【人気メーカー4社のセール情報】
Anker, Bluetti, EcoFlow, Jackeryのセール、お買い得情報を紹介します
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