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東京電力が値上げする規制料金(従量電灯B)の電気代負担のリアル

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ありーな

こんにちは あり~なです。

東京電力の規制料金値上申請が政府に出されたけど、我が家の電気代はどれ位値上がりするのだろう?

電気代が値上げは気になるけど、いつどれだけ影響があるのかはあまりピンと来ていないという人も多いのではないでしょうか

今回の記事では東京電力が政府に申請した「規制料金値上げ申請」の家計への影響を見ていきます。

東京電力の家庭用規制料金は「従量電灯B」という契約で、一般家庭は約55%がこの契約を結んでいます。

2023年は、電気料金に関係する「変更」が次々に実施されます。

これらのタイミングでどれほどの影響が起きてくるのか、東京電力の「従量電灯B」のケースを具体的に見ていきます。

2023年2月~9月:電気価格激変緩和対策(国が1kWh当り7円補助)

2023年4月1日:レベニューキャップ制度導入(託送料金増額)

2023年6月1日:東京電力規制料金値上げ(予定)(電気代値上げ)

2023年10月:電気価格激変緩和対策補助率変更(国が1kWh当り3.5円補助)

2023年11月:電気価格激変緩和対策終了(国からの補助0円)

この記事を読むと、次のようなことが分かります。

この記事でわかること

✔ 東京電力の値上げや国の激変緩和対策による影響が分かります

✔ 東京電力「従量電灯B」契約者のリアルな電気代負担が分かります

是非最後までご覧ください。

東京電力の一般家庭用電気代の仕組み

まず最初に東京電力の電気代計算方法について、簡単に触れておきます。

東京電力の電気代は「A基本料金+B電力量料金+C再エネ賦課金」で計算されます。

B電力量料金は、「B-1従量料金」と「B-2燃料費調整額」で構成されますが、6月1日の値上げはこの「B電力量料金」の値上げです。

電力使用量(Kwh)当たりの単価が値上がるため、家庭で使う電気量が変わらなくても、単価が値上がるだけで電気代の負担が増えてしまいます。

アリーナ

「C再エネ賦課金」の単価は1年に1度決まるもので、今回の東京電力の変更での変更はありません。また定額制の「A基本料金」の変更もありません。この記事ではいくつかの「変更」が行われる「B電力量料金」について説明します

東京電力の電気代についてはこちらの記事もご覧ください

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今後の「変更」により起きる電気代負担の増減

結論から言うと、東京電力の規制料金「従量電灯B」契約者の電気代の負担は、2023年1月~5月使用分は負担減となりますが、2023年6月以降の使用分は負担増となります。

負担増減の理由とどれくらいの負担増減があるのかを、期間に分けて説明します。

アリーナ

「2023年1~5月は負担減」と書きましたが、これで安心してはいけません。調べてみて見えてきたのですが、今回の「規制料金値上げ」のポイントは「B-2燃料費調整額」ではなく「B-1従量料金」を値上げしている点です。「B-2燃料費調整額」ならエネルギー価格が落ち着いてくれば電気代も連動して下がりますが、「B-1従量料金」を値下げするには政府の承認が必要になります。つまり東京電力は、今後も値下がらない「固定単価」の値上げを申請しているということを意味しています。

2022年12月時点の「従量電灯B」の電気量料金

東京電力の規制料金(従量電灯B)は2022年8月の時点で燃料調整費額の上限額(5.13円/kWh)に既に達していたため、その後の燃料費調整額は5.13円のまま横ばいで推移してきました。

東京電力の自由料金契約の人の燃料費調整単価は8月以降も上がり続け、2022年12月時点で11.92円/kWhにまで値上がりしていました(サムネの写真参考)。

この5.13円で横ばいとなってしまった「燃料費調整額」では耐えられないとして、今回東京電力は「規制料金値上げ申請」行われました。

各社が規制料金の値上げに踏み切る中、国は電気代の急激な高騰による影響を抑えるために電気料金の補助制度を打ち出しました。

このように2023年の電気代にはさまざまな「変更」が行われ、混乱することが予想されます。

そこで2022年12月時点での電気量料金を100として、今後のさまざまな「変更」により何が起きるかを見ていきます。

【2022年12月時点の電気量料金(従量電灯B)】

電気使用量区分B-1
従量料金
B-2
燃料費調整額
合計
第一料金
~119kWh
19.88円5.13円25.01円
第二料金
120~299kWh
26.48円5.13円31.61円
第三料金
300kWh~
30.57円5.13円35.7円

※この額を100として今後の「変更」による負担増減を見ていきます

① 2023年1月~3月使用分の「従量電灯B」の電気量料金

まず最初に行われる「変更」は、「電気価格激変緩和対策」です。

電気代の急激な高騰による影響を家庭や企業が直接受けないように、国が燃料費調整額の一部を補助してくれる制度です。

2023年1月~9月の使用分に対して、国が1kWh当り7円の補助をしてくれて、その分の電気料金が差し引かれた額が各家庭に請求されます。

2023年4月からは「レベニューキャップ制度」が導入され、「託送料金」の負担が増加します。

「電気価格激変緩和対策」のマイナス7円の恩恵を純粋に受けられるのは、2023年1月~3月になります。

よって下の表の「B-2燃料費調整額」は2022年12月の単価5.13円 – 電気価格激変緩和対策 7円=△1.87円となります。

電気使用量区分B-1
従量料金
B-2
燃料費調整額
合計
第一料金
~119kWh
19.88円△1.87円18.01円
第二料金
120~299kWh
26.48円△1.87円24.61円
第三料金
300kWh~
30.57円△1.87円28.7円

2022年12月の電気量料金を100とすると、2023年1月~3月使用分の東京電力「従量電灯B」契約者の電気代は、以下の通り「負担減」となります。

電気使用量区分2022年12月
(100とする)
2023年1~3月増減額増減率
第一料金
~119kWh
25.01円18.01円△7円△27.99%
第二料金
120~299kWh
31.61円24.61円△7円△22.14%
第三料金
300kWh~
35.7円28.7円△7円△19.61%

② 2023年4月~5月使用分の「従量電灯B」の電気量料金

2023年4月からは「レベニューキャップ制度」が導入されます。

この変更により「託送料金」の負担が増加します。

託送料金の負担額は地域ごとに異なりますが、東京は+0.20円/kWhです。

2023年1月から始まった「電気価格激変緩和対策」で1kWh当り7円の補助が入りますので、下の表の「B-2燃料費調整額」は2023年1月~3月と同様に△1.87円です。

そこに託送料金+0.2円が加わった額が、各家庭が負担する単価になります。

電気使用量区分B-1
従量料金
B-2
燃料費調整額
託送料金合計
第一料金
~119kWh
19.88円△1.87円0.2円18.21円
第二料金
120~299kWh
26.48円△1.87円0.2円24.81円
第三料金
300kWh~
30.57円△1.87円0.2円28.9円

2022年12月の電気量料金を100とすると、2023年4月~5月使用分の東京電力「従量電灯B」契約者の電気代も、以下の通り「負担減」となります。

電気使用量区分2022年12月
(100とする)
2023年4~5月増減額増減率
第一料金
~119kWh
25.01円18.21円△6.8円△27.19%
第二料金
120~299kWh
31.61円24.81円△6.8円△22.51%
第三料金
300kWh~
35.7円28.9円△6.8円△19.05%

③ 2023年6月~9月使用分の「従量電灯B」の電気量料金

国の承認が降りていれば、2023年6月からはいよいよ東京電力規制料金値上げ」が始まります。

「B-1 従量料金」部分が大きく値上げとなりますので、上のグラフの青部分が大きく増えています。

一方、「B-2燃料費調整額」には2023年1月から始まっている「電気価格激変緩和対策」で1kWh当り7円の補助が入ります。

4月に始まった「託送料金」の負担もあわせると、2023年6月~9月使用分の各家庭が負担は次のようになります。

電気使用量区分B-1
従量料金
B-2
燃料費調整額
託送料金合計
第一料金
~119kWh
34.84円△1.87円0.233.17円
第二料金
120~299kWh
41.44円△1.87円0.239.77円
第三料金
300kWh~
45.53円△1.87円0.243.86円

2022年12月の電気量料金を100とすると、2023年6月~9月使用分の東京電力「従量電灯B」契約者の電気代は、以下の通り「負担増」となります。

電気使用量区分2022年12月
(100とする)
2023年6~9月増減額増減率
第一料金
~119kWh
25.01円33.17円+8.16円+32.63%
第二料金
120~299kWh
31.61円39.77円+8.16円+25.81%
第三料金
300kWh~
35.7円43.86円+8.16円+22.86%

④ 2023年10月使用分の「従量電灯B」の電気量料金

2023年10月は、これまで行われてきた「電気価格激変緩和対策」の補助が減らされることが決まっています。

1月~9月の使用分には国が1kWh当り7円の補助をしてくれますが、10月は半額の3.5円の補助になります(2022年12月の単価5.13円 – 電気価格激変緩和対策 3.5円=1.63円)。

4月からの「託送料金」の負担と、6月からの「東京電力規制料金値上げ」を合わせると、2023年10月の各家庭が負担は次のようになります。

電気使用量区分B-1
従量料金
B-2
燃料費調整額
託送料金合計
第一料金
~119kWh
34.84円1.63円0.236.67円
第二料金
120~299kWh
41.44円1.63円0.243.27円
第三料金
300kWh~
45.53円1.63円0.247.36円

2022年12月の電気量料金を100とすると、2023年10月使用分の東京電力「従量電灯B」契約者の電気代も、以下の通り「負担増」となります。

電気使用量区分2022年12月
(100とする)
2023年10月増減額増減率
第一料金
~119kWh
25.01円36.67円+11.66円+46.62%
第二料金
120~299kWh
31.61円43.27円+11.66円+36.89%
第三料金
300kWh~
35.7円47.36円+11.66円+32.66%

⑤ 2023年11月以降使用分の「従量電灯B」の電気量料金

2023年11月は、これまで行われてきた「電気価格激変緩和対策」の補助が終了することになっています。

1月~9月は1kWh当り7円、10月は1kWh当り3.5円の補助がありましたが、11月以降は補助がなくなります。

そのため2022年12月と同じ単価5.13円が「燃料費調整額」として各家庭の負担となります。

4月からの「託送料金」の負担と、6月からの「東京電力規制料金値上げ」がありますので、2023年11月以降の各家庭が負担は次のようになります。

電気使用量区分B-1
従量料金
B-2
燃料費調整額
託送料金合計
第一料金
~119kWh
34.84円5.13円0.240.17円
第二料金
120~299kWh
41.44円5.13円0.246.77円
第三料金
300kWh~
45.53円5.13円0.250.86円

2022年12月の電気量料金を100とすると、2023年11月以降使用分の東京電力「従量電灯B」契約者の電気代も、以下の通り「負担増」となります。

電気使用量区分2022年12月
(100とする)
2023年11月
以降
増減額増減率
第一料金
~119kWh
25.01円40.17円+15.16円+60.62%
第二料金
120~299kWh
31.61円46.77円+15.16円+47.96%
第三料金
300kWh~
35.7円50.86円+15.16円+42.46%

まとめ

東京電力の規制料金「従量電灯B」契約は、燃料費調整額の上限が決められていたため、これまでは値上げの影響をあまり受けずにこれました。

ところが2023年6月からの「規制料金値上げ申請」が政府に提出され、規制料金で契約していた家庭も電気代値上げの影響を大きく受けることになります。

電気価格激変緩和対策の補助により、規制料金「従量電灯B」契約家庭は2023年1月~5月使用分に2割~3割の電気代負担が軽減されます。

しかしこれは一時的なまやかしです。

冒頭で触れたように、今回の「規制料金値上げ」のポイントは「B-2燃料費調整額」ではなく「B-1従量料金」を値上げしている点です。

東京電力が再度値下げ申請」をして政府に承認されない限り、この値上がった価格は続きます。

2023年6月に始まる「規制料金の値上げ」は、政府の「電気価格激変緩和対策」補助がある10月使用分までは多少ましかもしれません。

しかし11月以降は、値上後の高い電気料金負担がいつまでも続きます

燃料費調整額の上限がある「規制料金」であっても、今回の電気代値上げによって大きな影響を受けます。

「規制料金値上げ」は金額的にも大きいですが、今後ずっと続くであろうこの料金体系が始まってしまうことの方が大問題なのです。

いずれにせよ、各家庭での徹底した「節電対策」と「節電意識の醸成」は急務です。

アリーナ

東京電力に電話で確認したところ、「2023年秋以降に再値上げする予定」も、「燃料費調整額を変動させる予定」も今のところはないそうですが、将来何が起こるかは分かりません。北海道電力などは「今後原発再稼働があれば値下げも検討する」と言っているようですが、東京電力が「今後の値下げ」について触れているものは見つけられませんでした

節電対策、家族の節電意識の醸成についてはこちらの記事もご覧ください

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