みなさんこんにちは !
最近続いている大規模太陽フレアのニュースを結構気にして見ていた ありーな です
あらゆるものが電気で動く日本の暮らしは、いざ停電になったら大変です
「ポータブル電源とソーラパネルを買って備えよう」という人もいますが、このように考えている人もいるのではないでしょうか
「停電」になっても、どうせすぐに復旧するでしょ?
というわけで、日本で起きるかもしれないと言われている「停電のリスク」について記事にしました
ぜひ最後までご覧ください
目次
世界規模のリスク要因で引き起こされる停電
太陽フレアによる大規模停電

太陽フレア(太陽の表面の黒点付近で起きる巨大な爆発)が起きると、電気を帯びた粒子を含む高温のガスや強いX線などが放出され、その「太陽嵐」が地球の磁場を乱します。
その影響で電力設備の誤作動による停電や通信障害、人工衛星の故障などを引き起こす恐れがあります。
我が国の総務省は2022年6月に有識者会議による「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会報告書」を公表しました。
その中では2025年頃、大規模な太陽フレアの爆発現象が起きる可能性があり、広範囲に大規模停電や通信障害などの影響が断続的に2週間程度起きるおそれがあると発表しました。
このような太陽フレアによる電力への被害は過去にも起きていますが、これから起きる太陽フレアはそれを上回る被害をもたらす恐れがあります。
【太陽フレアによる電力への被害実績】
・1989年、カナダで電力設備が故障し約9時間に亘る大規模停電が発生
・2003年、スウェーデンで送電システムが故障し約1時間の停電
※ このほか1994年、2003年、2022年におきた太陽フレアでは、人口衛星や通信衛星、惑星探知機などに被害がでています
そして実際に2023年3月には、太陽フレアの中で1番規模の大きいことを意味する「X級の太陽フレア」が発生し、その後もMクラスの太陽フレアが連発しています。
太陽フレアは電波障害や通信障害、インターネットへのアクセス障害を引き起こすだけではなく、地震が噴火を引き起こすトリガーにもなると言われています
テロリズムによる停電

原子力発電所などへのテロ
福島第一原子力発電所の事故により、原子力発電所が自然災害のみならずテロリストによる脅威が世界的に懸念されるようになりました。
原子力発電所に対するテロが発生した場合は、国民の生命・身体に重大な危険が生じるおそれがある他、政治的、経済的、社会的、精神的にも大きな影響が生じてきます。
もちろん発電所の稼働がとまることで電力が供給されない事態になりますので、当然のように停電が起こります。
近年、原子力発電所に対するテロ対策は強化されていますが、そのリスクがあることは常に肝に銘じておく必要があります。
2003年8月に送電管理システムのダウンによると思われる大規模停電が北米で起きました。
29時間におよぶ停電の被害はアメリカ、カナダ両国の約5,000万人におよんだと言われています。
このように電気に関する施設で不具合が起きると、大規模な停電につながる恐れがあります。
令和4年9月に安全保障政策上重要な施設周辺の土地に対する規制する「重要土地調査法」が施行されました。この対象に原子力関連施設も含まれますが、どこまで効力が及ぶのかはまだ不透明です
サイバーテロ
近年は物理的なテロだけでなくサイバーテロの脅威も高まっています。
従来は情報搾取を目的としたサイバー攻撃が主体でしたが、最近は社会インフラに物理的なダメージを与える攻撃も増えています。
電力などのインフラのサーバやネットワークに大量のデータを連続送信し、システムを利用できない状況を作り出すDDoS(分散サービス妨害)というサイバー攻撃が特に脅威です。
サイバー攻撃は、原子力発電所だけでなく火力発電所や変電所、送電施設などに対しても起こされる可能性が高くあります。
電磁パルス攻撃
「電磁パルス」とは協力なパルス状の電磁波(ガンマ線など)をいい、自然界では大規模な太陽フレアによって発生します。
この電磁パルスを高高度で核爆発させたり特殊な装置を使い人為的に発生させ兵器として用いたのが「電磁パルス攻撃」で、北朝鮮がロシアの技術を使って既に完成させていると言われています。
電磁パルスは人体に直接の影響はないものの、パソコンなどの電子機器だけでなく、電力・通信・水道・ガス・交通と言ったインフラなどを損傷・破壊させます。
もしこれらの攻撃を受けた場合、復旧までに数か月~数年かかるともいわれ広範囲での壊滅的な被害となります。
北朝鮮との関係が悪化し弾道ミサイルなどで挑発が激しくなると、TVなどで電磁パルス攻撃の可能性が指摘されます。
日本国内のリスク要因で引き起こされる停電
突然の大規模災害が原因で起こる広範囲での停電

災害大国である日本では、災害被害をうける度に電力や水道などのインフラも大きな被害を受けてきました。
しかし災害は極地的に引き起こされることが多いため、災害後のインフラは比較的短期間に復旧されることがほとんどでした。
しかし近年は広範囲で影響を受ける大規模地震や噴火などの危険が指摘されており、実際に起きた場合の被害は大規模、広範囲になる恐れがあります。
南海トラフ地震
政府の中央防災会議によると、南海トラフ地震では震度6~7の揺れが静岡県から宮崎県にかけての地域で起こる想定となっています。
また、関東地方から九州地方の太平洋側では10mを超える津波が広範囲でおきると想定されています。
もしこれほど広い範囲で大きな被害が起きたとしたら、電力などインフラの復旧にはかなりの時間がかかります。
政府の地震調査委員会が2022年1月に公表した資料によると、マグニチュード8~9クラスの地震の発生率は、かなり高く想定されています。
【マグニチュード8~9クラスの地震の発生率想定】
・10年以内は30%程度
・30年以内は70~80%
・40年以内は90%程度もしくはそれ以上
なお南海トラフで起きる地震は約100~150年間隔で繰り返し発生しています。
前回の南海トラフ地震(1944年昭和東南海地震、1946年昭和南海地震)発生後70年以上が経過しているため、次の南海トラフ地震発生の可能性が高まっています。
なお想定されている巨大地震として東海地震もありますが、これは南海トラフ沿いで想定されている大規模地震です。よってここでは南海トラフ地震のみ説明しています
首都直下地震
東京都は首都直下地震の被害想定を10年ぶりに見直し、2022年5月に「東京都の新たな被害想定~首都直下地震等による東京の被害想定~」を発表しました。
その中ではマグニチュード7クラス以上の地震が起きた場合、東京都だけで6,000名以上の死者、93,000名以上の負傷者が想定され、電力については次のように書かれています。
地震発生後の想定 | 電力の想定 |
発災害直後~1日後 | ・広範囲で停電が発生 ・広い地域で計画停電が実施される可能性 |
3日後~ | ・徐々に停電が減少 |
1週間後~ | ・発電所の停止など、電力供給量が不足し、電力需要が抑制されない場合などは、計画停電が継続する可能性 |
1か月後~ | ・建物崩壊や焼失など復旧困難エリアをのぞき、安全点検の終了や管路の復旧により、多くの地域で供給が再開 |
東京都防災会議「東京都の新たな被害想定~首都直下地震等による東京の被害想定~」より抜粋し作表
なお「発災後当面の間は、ライフラインや公共交通機関など、身の回りの生活環境に大きな支障が生じるとともに、被害が甚大な場合は、その復旧が長期化するおそれ」と追加で書かれています。
電気を使えない期間が「長期化」することも視野に入れた備えが必要となります。
首都直下地震の被害の全体像を想定している内閣府中央防災会議の報告では、電力の被害について次のとおり書かれています。
・地震直後は、火力発電所の運転停止等による供給能力が5割程度に低下し、需給バランスが不安定となり、広域で停電が発生する。また、東京都区部では、電柱(電線)、変電所、送電線(鉄塔)の被害等による停電も発生するが、電柱(電線)等の被害による停電は全体の約1割以下である。
・ 震度分布によっては、東京湾沿岸の火力発電所の大部分が運転を停止することも想定されるが、電力事業者の供給能力は、関東以外の広域的な電力融通を見込んでも、夏場のピーク時の需要に対して約5割程度の供給能力となることも想定される。湾岸の大部分の火力発電所が被災した場合、最悪、5割程度の供給が1週間以上継続することも想定される。このため、需要が供給能力を上回る場合、需要抑制(節電要請、電力使用制限令、計画停電等)が必要となることが考えられる。
・ 公的機関や民間の重要施設については、非常用発電設備が確保されているが、消防法等により燃料の備蓄量が限られていることから、停電が長期化した場合は非常用電力が得られなくなる可能性がある。また、発災後は燃料の需要が集中すること、激しい交通渋滞が想定されることから、追加の燃料(重油・軽油)の確保は困難となることが想定される。
【内閣府中央防災会議「首都直下地震の被害想定と対策について」より抜粋】
富士山噴火
富士山は最後の噴火(1707年の宝永大噴火)から300年以上経過しており、いつ噴火してもおかしくない状況といわれています。
富士山噴火が起きれば噴石や火砕流、溶岩流などたくさんの被害が周辺地域におよびますが、広範囲に影響を及ぼすのは火山灰です。
火山灰はガラスや鉱物が小さな粒であり、拡大するとギザギザの形状になっています。
そのため吸い込んだり、目や皮膚に付着すると甚大な健康被害をもたらします。
農作物への被害、建物の倒壊、交通機関の運行妨げなどさまざまな被害が予想されますが、電気についてはどうでしょうか。
2016年の熊本阿蘇山噴火の時は、噴火後からまもなく停電が発生し、阿蘇市を中心に2回の停電がおき約56,000戸に被害がおよびました。
この原因は電柱などにつけられた絶縁体の碍子(がいし)の絶縁低下によるものでした。
碍子に積もった火山灰が雨に濡れたことにより絶縁抵抗が低下し、漏電が起き停電につながったのです。
このように富士山噴火の火山灰が原因となり停電を引き起こすことは十分考えられます。
【火山灰が原因で停電を引き起こす可能性】
・碍子に積もった火山灰が雨に濡れたことで絶縁抵抗が低下し、漏電し停電した
・碍子で起きた漏電が発電所に影響を及ぼし停電を引き起こした
・外気を取り込み燃料を燃やす火力発電所のフィルターに火山灰が詰まり、発電能力が落ちて停電を引き起こした
・火力発電所のタービンに火山灰が入り込み、故障を引き起こし停電した
富士山噴火は大規模地震に誘発され起こる可能性も指摘されています。
例えば南海トラフ地震と連動して富士山が噴火をした場合、複合的に大規模で広範囲な被害がもたらされるのは間違いありません。
風向きや風の強さにもよりますが火山灰は偏西風に乗り関東地方全域まで飛んでくると予想されています
台風、豪雨など気候や環境変化が原因で起こる停電
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世界的に見てもそうですが、日本列島の気候も最近激しさを増しています。
台風や豪雨など荒天により停電となる要因はさまざまですが、河川氾濫や土砂災害、大規模な倒木、竜巻など、電気の復旧を妨げるような要因が数多くあります。
2019年9月に起きた台風15号では鉄塔や電柱の広範囲での倒壊などによって99%の家庭で停電が解消されるまで12日間もかかりました。
発生年月 | 名称 | 停電戸数 | 復旧までの時間 |
2018年7月 | 西日本集中豪雨 | 最大約8万戸 | 約4日後に99%解消 |
2018年9月 | 台風21号 | 最大約240万戸 | 約5日後に99%解消 |
2018年9月 | 台風24号 | 最大約180万戸 | 約3日後に99%解消 |
2019年9月 | 台風15号 | 最大約93万戸 | 約12日後に99%解消 |
2019年10月 | 台風19号 | 最大約52万戸 | 約4日後に99%解消 |
【経済産業省資源エネルギー庁「台風」と「電力」~長期停電から考える電力のレジリエンスから引用し作表】
また世界に目を向けると、異常気象が各国の電力にも大きな影響をおよぼしています。
近年、記録的な猛暑・熱波に多くの国・地域が見舞われており、2022年もヨーロッパやアメリカなどで猛暑による電力への影響が出ています。
例えばフランスでは猛暑により川の水温が上昇し、原子力発電施設の冷却機能が制限されるとして発電量を削減する可能性が出てきています。
イギリスでは電力需要の急増により電力がひっ迫し、そのひっ迫に対応ルスためにイギリス政府は通常の55倍の値段で電力を輸入したと言われています。
電力の需給バランスの崩れから起きる停電
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2022年3月22日、政府は東京電力、東北電力管内において「電力需給ひっ迫警報」、6月27日に東京電力管内で「電力ひっ迫注意報」を発令ました。
電力需給ひっ迫警報:電力需要のピークに対し供給の予備率が3%を下回ると予想される場合の前日に発令されます
電力ひっ迫注意報:電力需要のピークに対し供給の予備率が3~5%になると予想される場合の前日に発令されます
これらは電気の需要が供給量を上回ることのないように、家庭や企業に対して節電を呼びかける目的で発令されるものです。
電気というエネルギーは貯めておくことができないため、電力会社は常に電力需要量を予測しながら、それに見合った量の電気を供給するように調整しています。
しかし、夏の暑い日や冬の寒い日などで需給バランスが崩れてしまうと、計画停電やブラックアウトのリスクが高まります。
今後はこのような形での停電が増えることが予想されます。
現在の日本は原子力発電を減らし、老朽化の進んだ火力発電に多くを依存しています。また天候に左右され夜間に発電できない不安定なエネルギーである太陽光発電の割合も増えています。昨今の異常気象の影響もあり、電気の需給バランスを見極め安定的に供給することが年々難しくなっている側面もあります
社会インフラの老朽化が原因で起こる停電

高度成長期に多く作られた日本のインフラ設備は、コストの問題もあり十分なメンテナンスや更新ができずに老朽化しているものも数多く残っていると言われます。
このような設備の老朽化が招いた停電が、2016年10月に東京で起きました。
大都会で起きた突然の停電にテロの恐怖を感じた人も多かったと聞きますが、その原因は設備の老朽化でした。
埼玉県にある東京電力の送電ケーブル発火で引き起こされた都内の停電は、11の区にまたがり最大約37万軒の停電を引き起こしたのです。
日本経済が成長できずにいる中、このようなメンテナンスが行き届かない設備の老朽化により引き起こされる停電は増えていくのかもしれません。
まとめ
身の回りには「突然起こりうるたくさんの停電リスク」が存在することが分かっていただけたと思います。
最近の不安定な世界情勢、特に東アジア地域にまで広がってきた不穏な動きを見ると「世界規模のリスク要因で引き起こされる停電」が起こりうる可能性は一層高まっています。
これまでのような局地的に起きる災害・停電とは違い、最近言われているリスクは「広範囲で壊滅的」なものばかりです。
「ポータブル電源とソーラーパネルがあってよかった」と思える未来が来るかもしれません。



